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カメラレンズってさ

レンズシステムという考え方

「レンズシステム」という概念を説明したくて、[ レンズシステム とは ]でGoogle検索してみたら、

各々が夢見る、ないしは努力の末に獲得したおのれのレンズシステムをほげほげと書き連ねているだけで、

それが何なのかという疑問に対する根本的な解決にはならなかった。



システムというのは幾つかのものが集まって体系立っているその様子であって、

たとえばソーラーシステムだったら太陽とそれを取り巻く惑星たち。

たとえばカメラだったら自分の持っているボディ本体とそれを取り巻くレンズたち。
ということになる。


じゃあそのレンズたちをどう体系立てるか、というのがおのれたちの趣味と思想の問題であって、

「とりあえずこれらを揃えておけば自分のやりたいことができる(=撮りたい写真が撮れる)」を満たすレンズたちのことが

その人のレンズシステムってことになるんだと思う。


レンズシステム一例

望遠から広角をすべて押さえたい!というのが、カメラを始めた人の当面の目標になるのじゃないかと思う。

ちなみに、レンズの画角には大きく分けて3種類あって

  • 広角

003
AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED:28mm


  • 標準

007
AF-S NIKKOR 50mm f/1.8G


  • 望遠

058
AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G


DSC_0258.jpg
AI AF VR Zoom-Nikkor 80-400mm f/4.5-5.6D ED:400mm


となる。

加えて、広角のさらにすごいものを「超広角」、望遠のさらにすごいものを「超望遠」と呼んだりする。
ちなみに「超標準」は無い。


35mmフルサイズカメラの焦点距離にすると、諸説ありますが

  • 広角(~35mmくらい。単焦点で言うと35mmまで)
  • 標準(35~60mmくらい。単焦点で言うと50mm, 60mm)
  • 望遠(60mmくらい~。単焦点で言うと85mmから)

という感じ。



さてレンズシステムの一例だけど、この3つの画角を押さえたいとなると

  1. 全域を押さえるズームレンズ1本
  2. 各画角で単焦点1本ずつ
  3. 各画角でズームレンズ一本ずつ

みたいな解がある。

具体的に製品を出すと

1. 全域を押さえるズームレンズ

※35mm版換算24-120mm


2. 各域単焦点

Nikon 単焦点レンズ AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G フルサイズ対応

Nikon 単焦点レンズ AF-S NIKKOR 85mm f/1.8G フルサイズ対応


3. 各域ズーム


まあこんな感じ

どうやってレンズを選ぶか?

レンズを選ぶ基準になる性能は、焦点距離(画角)に加えて

  • 開放絞り値(スピード、F値
  • メカ的機構(手ブレ防止機構、AF速度、堅牢性)
  • 結像性能(MTF、ボケ味)
  • ズームレンズであればズーム倍率(どれくらい広い範囲の焦点距離をカバーするか)

などがある。

絞り値については当然、明るいほうがツヨイ。
機能もたくさん乗っていた方がうれしい。

※ 結像性能については後述する



ただし、もちろん、これらの性能が良ければよいほど、サイズが大きくて、重くて、値段が高い。

同じ物理法則の星の下なので、各種レンズメーカーによる差というのは比較的少ない。


どういうことかいうと、性能を高めるために犠牲にされる大きさ、重さ、値段に直結するのは主に、

中に入っているレンズの枚数と種類であって、どの程度のグレードのガラスでできたレンズを何枚使うと、

どのくらいの性能になるかっていうのは、経験的に限界が大体決まっている。



というわけで、ほぼ同じカタログスペックであっても値段が明らかに違うという場合は、

性能について何かしらの差があるということ。

例:28mm単焦点

ニコン f/1.8, 9群11枚(非球面レンズ2枚)
AFあり。全長80.5mm, 重量330g, 定価10万円


Carl Zeiss f/1.4, 13群16枚(非球面レンズ2枚)
AFなし。全長127mm, 重量1320g, 定価60万円


とまあこんな感じ。28/1.8と28/1.4の比較で若干公平ではないけれども
(とはいえニッコール24/1.4は30万円)

この場合は、結像性能を上げるために4倍以上重くして大きくして、値段を高くしているということ。




というわけで、レンズを選ぶときには、カバーしている焦点距離はもちろん、

その他の性能から決まる値段の事も意識して選ぶ必要がある。


いやもっというと、「写れば良い」のか「いい写真を撮りたい」のか、はっきりさせておく必要があると思う。

「望遠もあると良いし、広角も撮りたいから、高倍率ズーム買いましょう」となる場合、

それは本当に一眼レフでやるべきことなのか。スマホとか最近流行りの高倍率コンデジじゃだめなのか、みたいな。

当然、一般的な人間が持てるサイズで高倍率ズームを作ろうとすると、明るさか画質は落ちるからね




「純正は高いからサードパーティで」って言うけど、それだけ安くなる理由は何?AFは?画質は?ってか画質の違いわかる?

みたいなね。



もちろん、300億円拾ってすべてのメーカーのすべてのレンズを買ってしまうのが全面的に正しいし正義なんだけど、

そういうわけにはいかないので、買うレンズを取捨選択するときには、

カタログ性能と値段だけでは決めない方が良いんじゃないかなーというのが、

今回の記事を書こうと思った発端だった。




ついでに画質の話。


MTFってなんだ

MTF:Modulation Transfer Function:振幅伝達関数


意味としては、ある細かさの白黒の縞を、何らかの光学系を通して結像させたときに、

その白黒コントラストがどれだけ保存されるか、ということ。値が高いほうがよく保存される。


主にカメラレンズのカタログに載っているMTFは、センサ上で10本/mmと30本/mmになるような縞を結像させたときの値で、

10本/mmは比較的周期が長いので、白と黒のコントラストがどれだけつくか。つまり絵にメリハリやヌケが出るかを表す

30本/mmは周期が短く細かいので、輪郭や細かい線がどれだけくっきり写し込めるか。つまり絵の解像力がどれだけかを表す

というのが通説。


軸上のベストフォーカス位置で、中心から最周辺まで見てるのかね。さすがに各点ベストフォーカスじゃないよね。



で、世の中にはMTFをやたらありがたがるMTFおじさんたちがいらっしゃいますが、

MTFでわかるのは無限遠合焦時での結像性能だけ。


みんな大好きな「ボケ味」とかはわかりません。

製造誤差などで性能がガクッと落ちると、それをMTF低下で判断することはできるけど、

MTFが良いからいいレンズ、というのはおかしくて、いいレンズはMTFも良い、というのが本当のところ。



だから、たまに記事のアドバイス等であるMTFで性能判断、というのは嘘。

MTF図を見ている暇があったら作例を見た方がいい。


ヌケ良くくっきりと写るレンズが良いとも限らんよ?

ベストフォーカスでのMTF性能を高めることを目標としたレンズ設計をしているシグマという会社があって、

もちろんフォーカスが合ったところがカリッと結像するのは本当に気持ち良いのだけど、

確かにそれは結像性能の高いレンズと言えるわけだけれども、

カメラの宗教の人たちは自分を美術家だと思っていて、

それこそボケが芸術だとか、ほげほげのレンズのボケ味は云々だとか言っていたり、

オールドレンズ、とかいって、3枚のトリプレットや4枚のエルノスターで撮った写真が

美しいとか言ってる人たちもいるからねえ



感想

作例を見ましょう。


おわり

まとまりがなくなったので突然の終了です。

ありがとうございました。

今後にご期待下さい